Illustratorの「グループの抜き」について2

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前回はIllustratorでの不透明度設定がどのようにPDF構造に落とされるのかという基本的な部分を解説しました。今回はソフトマスク処理に関連する構造を解説します。

PDF上でのソフトマスクといっても普段Ilustratorを利用している際はどの機能がそれにあたるのかという事は全く知られていないわけです。まずはその辺のところから。

とりあえず典型的な例として不透明マスクにテキストを使ったものを用意しました。不透明マスクによる処理はPDF上ではグラフィクスステートパラメーター上で取り扱われます。以下、構造を確認していきます。

トランスペアレンシーグループを構成する為に外部オブジェクトの形でコンテンツを組み立てるのは前回説明したものと同様です。しかし、ソフトマスクの場合、マスク情報は外部オブジェクト上でデータを構成しません。グラフィックステートにはソフトマスク用のパラメーターが存在し、今回のようなケースではソフトマスクの形状情報はグラフィックステートパラメーターの子要素として定義されます。上の例では「SMask (4)[11 0 R]」に子要素の定義が含まれます。

このSMaskを展開してみるとコンテンツ情報が一通りそろっているのが読み取れます。上の例では配置が前後しているためストレートに読み取りにくいのですが、SMaskのコンテンツから外部オブジェクトを参照し、そこにテキストの実体が含められています。この例ではソフトマスクは完全にノックアウトする形になりますが、ソフトマスクは濃度に応じた不透明度処理が行われますので子要素に画像が含まれたり複雑なトランスペアレンシーグループが含められている場合があります。

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Graphic Designer, Scripter and Coder. Adobe Community Professional.

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