明治のJANコードに誤認識について

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色々なチャンネルで報道されているこのJANコードの誤読問題について印刷に携わる者の一人として色々と考えているわけです。

株式会社明治さんからは以下のリリースが発表されています。

https://www.meiji.co.jp/important_notice/assets/pdf/2024/20241219_01.pdf

これを読む限り、一部の商品ロットで発生している問題であるように見受けます。JANコードはロットで変更されませんので、なにか印刷上の問題が存在するのではないかと考えられるのですが、普通では考えられないケースです。
そもそもJANコードというのは13桁目がチェックデジットになっていて、前の12桁を読み取った結果からパリティを算出して照合することでデータを正しく読み取れているかどうかを判断する仕組みを持っています。ではこのチェックシステムを乗り越えるにはどのような条件が必要なのかを検証していきましょう。

まず「明治チョコレートアイス パフェ185ml」のJANコードについて「4902705036888」です。これをIllustrator上のEAN13 Makerエクステンションを使ってコード化します。

あっ……と、とりあえずヨーグルトの「4902705036222」もコード化……

はい、この2つ最後の3桁の構造がほぼ反転なんですね。8が1モジュールの黒と2モジュールの白の繰り返し、2が2モジュールの黒と1モジュールの白の繰り返しとなります。黒モジュール間の白は1か2となります。1モジュールは0.33mmなので0.3mm弱版ズレなどの影響が発生すると8が2になってしまいます。ただし、これほど大幅な太りが生じるとこの3桁より前の部分が正常に読み取れなくなり読み込みエラーが発生する可能性が高いです。なので、別の条件が必要になります。
アイスのカップですから曲面に印刷されるわけですが、平面に印刷するように均一な圧力をかけるのは難しいでしょうから部分的にゲインが高くなり太る事を考えてみます。

この例では左側のデジットが正規の太さですが、右側のデジットが1.5倍弱の太さになっています。この状態ではまだ白モジュールの方が太く見えます。これをデコードしてみると…

見事に別商品に化けましたw
スキャナや角度によってはもう少しゲインが小さく出ても認認識しそうです。
この条件を踏まえて…


パッケージの曲面に比較的(オフセット印刷と比較して)解像度の低い印刷で、印刷状態によっては他の数値と読み取りうる数字の連続と、チェックデジットまでが同様に誤認識の可能性があり、その誤認識した数値で計算されたパリティ自体も誤認識した値にビンゴしてしまったというものでしょう。これ、かなりの低確率な事象を踏み抜いていますよ(^-^;
アイスなんで霜の付着なども影響するかもしれませんが、やはり曲面に印刷していたという所がリスクなのかもしれません。フタの方にJANコード配置していたら起きなかったかもしれませんね。

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Graphic Designer, Scripter and Coder. Adobe Community Professional.

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