アドビ基本利用条件を読んで見る1

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Adobe社の提供するアプリケーションやサービスは山ほどあるわけですが、利用規約などをしっかり読み込んで利用されている方はどれぐらいいらっしゃるのかという事ははわからないのですが、多くの方は、そのドキュメントがどこにあるのかも知らずにアプリケーションを利用しているのではないかと思われるわけです。
ということで、現物はこちらになります。

https://www.adobe.com/jp/legal/terms.html

まずはこちらをしっかりと読んで……って言いたいところなのですが、ご多分に漏れず難解な部分が存在して眠たくなりそうな代物です。ということなので、今回はこちらの大事な部分をちょっと説明したりしようかと思います。

1.1 法の選択

採用される法律についてですが、日本ではアイルランドの法規に準拠した判断がなされます。もちろん日本で関連する法規が存在する場合はそちらが優先です。そして私達ユーザーが契約しているのは「Adobe Systems Software Ireland Limited」であり、日本のアドビ株式会社ではありません。びっくりですねw
ですからカードの引き落しがアイルランドになっているんですね。

1.2 追加条件

こちらは追加条件ということで、アプリケーションによっては個別に細かい条件が追加されています。例えばMediumはVR関連の技術ですからVRゴーグルが必要になること、運用の際に3D酔い等の健康状態への悪影響が生じる可能性への留意などの情報が書かれています。こちらで読んでおくべきは「ソフトウェア追加利用条件」です。こちらにはサブスクリプションの利用条件であったり、「アドビソフトウェアプロテクションサービス」についての説明等があります。
サブスクリプションの運用上の注意点はQ&Aなんかでも書かれているので大多数の方が把握されています。例えばCreatibeCloudサブスクリプションでは2台のまでの端末にCCアプリケーションをインストール可能ですが、その2台を同時に利用することは出来ませんと言ったことや、正規品のアプリケーションを確認するためのアドビソフトウェアプロテクションサービスがインストールされて確認が行われること等の情報があります。

1.3 ビジネスユーザー

1.3はビジネスユーザーに関する情報です。エンタープライズ版やグループ版等で組織内運用が行われている場合のID管理や運用についての定義になっています。

1.4法人用メールドメイン

エンタープライズ版を運用する組織のドメインを持つメールアドレスのアカウントについてです。エンタープライズ版としてひも付きますから個人版として運用したい場合はそのメールアドレスを利用しないようにという事です。

1.5 本条件の更新

当該ドキュメントは随時変更が行われて通知は上部の日付の変更によるって事が書かれています。重要な変更が行われる場合は全ユーザーにメールを送ったりします。
Firefly等、AI関連の事がありますので変更を注視しておいたほうが良いでしょう。

2. プライバシー

2の各項目はプライバシーに関連するものです。基本的にはプライバシーポリシーを確認しておけばオッケーなんですが、Adobe社と共有する情報に関してはユーザーにある程度の選択肢があります。詳しくはオプトアウトについて(https://www.adobe.com/jp/privacy/opt-out.html)確認しておいてください。また、クラウドにアップロードされたデータはAdobe社が内容を確認することがあります。これはデータに違法性がないかどうかの確認等の処理の過程で行われます。
個人情報保護法等も存在しますので基本的にユーザーが割を喰うような記述はありませんが、個人情報は海を渡ります。Adobe社に限った話ではありませんが、必要以上に個人情報を書かないと言った事もユーザーの選択肢としてはありますので先に書いたオプトアウトと共にうまく利用すると良いでしょう。ちなみに、わたし個人はいっぱい書いてますし、いろんなファイルを共有しています。

3. 本サービスおよび本ソフトウェアの使用

3は重要な情報がいっぱい書いてあります。

3.1ライセンスについて

ややこしく書いてありますが、提供されるアプリケーションは非独占的な提供で、場合によってはAdobe社によるライセンスの制限や取り消しも可能な運用になっています。現状では現行バージョンとその一つ前のバージョンがインストール可能ですから、ライセンスを取得した当初のバージョンが、今現在インストールできないことがあるということも説明しています。あと、アプリケーションの進化や継続に関しては、Adobeの発表あったとしても実際にリリースされる製品に反映されるかどうかはわかりません。そういった情報を以てアプリケーションの導入を判断しないでねって点も強調されています。まあ、予告された機能がプレリリースで重大な問題が発見されて、実際のリリースバージョンでは外されるという事は何度か経験しています。

3.2知財関連

知財関連についてはソフトウェアベンダーとして、ごく一般的な内容です。私達ユーザーはAdobe社のアプリケーションを利用する権利が渡されるものです。また、商標権に関しては特に制限が厳しいものです。ロゴやマーク、各アプリケーションのアイコン等一般的には利用が不可と考えて良いです。

3.3ストレージに関して

CreativeCloudはローカルとクラウドを同期するような動作をしますが、クラウドドキュメントやユーザーがアップロードしたフォントなどはローカルには同期されません。こういったファイルも万が一に備えて定期的にバックアップしてねっていう事なのですが、数年前にLightroomでやらかしてますので、最低限必要なものは同期処理とは別にバックアップを行っておくほうが良いでしょう。あと、ストレージアクセスに関してはベストエフォートなサービスであることから諸々の環境要因によって帯域制限などもありうるって事も書いています。
サブスクリプションが切れた場合について、30日経過するまでは保持しますよって事なのですが、サブスクリプションが終了すると無料プランになりますから容量が2GBに大幅に現象します。サブスクリプション期間中にそれ以上の容量をアップロードしていた場合はアクセス不可能になります。サブスクリプションを切る場合は、満了日までにバックアップしておく必要があります。

3.4 ユーザー作成コンテンツ

ユーザーが作ったコンテンツに関して公開サービスはいくつか存在するのですが、そういったサービスを利用して公開されたコンテンツに関しては責任を持たないという事なのですが、世の中には法に触れる物等公開してはいけないものも存在します。また公序良俗に反するコンテンツも制限対象となり得ます。こういったものはAdobeに通報するということも可能です。Adobe Communityなんかも通報するボタンがありますね。そういったものを利用して問題のあるコンテンツは報告できるってことです。

3.5 サンプルファイル

サンプルファイルは機能学習用に用意されたサンプルデータやチュートリアルで利用するために配布されたデータを指します。これらは提供された範囲のみで利用可能となります。仕事で利用する等の商用データを作成する際に素材として利用することは出来ません。ご注意を。

3.6 コンテンツファイル

ここで出てくる「本コンテンツファイル」というのはアプリケーションにバンドルされている各種データの事を指します。例えば、Illustratorにデフォルトで登録されているパターンやシンボルなどを指します。これらはチラシを作成するために利用したり、一部を変更してバリエーションを持たせて使ったりすることができます。しかし、非独占的かつサブライセンス不可ですから、こういったアセット自体を頒布するような事は禁止されています。

3.7・3.8 メンバーシップ・体験版とか

体験版というのは購入前に自身の環境で正常に動作するかどうかを確認するために提供されるということになっていますが、この無料で提供されるアプリケーションは現状そのままで提供されるもので、基本的にサポートは提供されません。また、体験版はアンインストールやインストールファイルを手動で移動したりすると利用期間が終了することがあります。これは、体験版の不正利用を防御する為に組み込まれた機能により起きるものです。こういったことについても書かれています。
また、体験版や評価版といった形で提供されるアプリケーションはNFR版と呼ばれるのですが、このバージョンのアプリケーションは商用のコンテンツを作成するのに利用してはいけません。

3.9 Adobe Talent

Adobe TalentというのはBehanceの求人機能なんですが、これを利用して無報酬のコンテストやコンペはダメですよって事です。企業などの求人担当がAdobe TalentでTalent Search機能を利用した際に登録ユーザーの公開情報や公開作品が提示されることがあるから同意してねって事が書かれています。まあ、公開プロフィールなので自分でしかと管理しておけば良い話ではあります。

3.10 Creative Cloudお客様フォント

フォントアップロードに関する事です。フォントをCreativeCloudに登録して利用する場合、自身がフォントをクラウドサービス経由で利用可能なライセンスを保持しているかどうかが問題となります。多くの商用フォントではインストール可能端末が1台に制限されていますので、クラウドで同期処理を行うことは規約違反となります。この機能を利用できるのはSILオープンフォントライセンスで提供されているものか自作のフォントぐらいです。ご注意ください。正しいライセンスを持たない状態で運用されているフォントが判明した場合、Adobe社は当該フォントをCreativeCloudから削除します。また、CreativeCloudは定期的にバックアップされますから、登録されたフォントもバックアップに含まれることになります。クラウドにフォントを配置するということは権利関係に関して、とても面倒な事であると言えるのですが、それが、この項目の複雑さに現れているわけです。

3.11 その他のライセンスタイプ

(A)ベータ版やプレリリース版

ベータ版やプレリリース版というのは正式リリース前に機能の確認や安定性のチェックのために特定のユーザーに対して提供されるものです。ですから、バグがあって当然の代物です。この部分に関する免責事項やこれらテストバージョンを通じて収集される各種情報についての説明が書かれています。このAdobe社が収集する情報については先に説明したオプトアウト条項による制限を受けないことに注意が必要です。この情報収集に関してはベータ版利用条件の一部となっていますので情報を提供したくない場合はβ版やプレリリース版を利用できないことになります。

(B)教育版
学生・教職員版に関する事を定義しています。

3.12 サードパーティサービスおよびソフトウェア

Adobe社のアプリケーションも様々なライブラリを利用します。これは品質の向上・安定と効率化を考えると当然の事です。そういったサードパーティー製のライブラリhttps://www.adobe.com/jp/products/eula/third_party.html)に関しても有償・無償にかかわらず権利関係について明記する必要があります。そういった情報がこちらに書かれています。Photoshopなんか42ページに渡ってサードパーティの権利関係が書き連ねられています。しかし、VisualFortranで何書いているんだろうか……私達エンドユーザーがそういったライブラリに関する事項に抵触するようなアプリケーションの使い方は基本的に出来ないわけですが、Adobeアプリケーションの外部サービスとして連携するものに画像検索サービスhttps://www.adobe.com/jp/legal/permissions/image-notice.html)のような注意が必要な物が存在します。そういった機能で得られた結果についてはAdobe社はなんの保証もしてくれませんので利用の際は権利関係について重々調査した上で利用する必要があります。

4 お客様のコンテンツ

4.1 コンテンツ

こちらの項で「本コンテンツ」と呼ばれるのはユーザーが作成したデータを指します。ここで書かれているのはStock等Web上で有償・無償にかかわらずAdobe社のサービス上で公開される作品等についてです。第三者の著作権に抵触するものや法的に問題のある内容であったりAdobe社が定める不適切なコンテンツについては、これに対するアクセスを制限したり当該データ自体を削除する権利をAdobe社が持っているということです。また、そういった活動を行うためのユーザーデータに対するスクリーニングをAdobe社が行うことも明記しています。

4.2 お客様の本コンテンツに対するライセンス

これはAdobeStockや共有機能などが想定されています。ここに書かれている事はAdobe社がストックサービスやファイル共有サービスが円滑に進むように意図されたものです。

4.3 所有権

アプリケーションに関する権利はAdobe社が保有しています。私達ユーザーはサブスクリプション等を通して契約期間中にそれらのアプリケーションを利用する権利を得ているわけですが、そういったアプリケーションを利用して作成したデータ(作品)はユーザーの著作物となります。Adobe社はそれらユーザーが作成した作品についていかなる権利の主張を行わないと書いています。注意する点としては、データ作成時にAdobeStockアセット等、第三者が権利を持つアセットを利用した場合です。その場合、利用規約などを尊重する必要があります。場合によってはクレジットの表記や商用利用の制限などもありえますので、第三者が権利を持つアセットの利用には十分注意が必要です。

4.4 お客様のコンテンツの共有

ここではユーザーが作成したデータを公開・共有する場合の注意点が書かれています。CreativeCloud等のファイル共有機能を利用して一般に公開した場合、共有者にロイヤリティフリーでの利用を許可したことになるという事が書かれています。オリジナルデータについての権利や責任は元データを作成したユーザーが保持しますので、データ上に第三者が権利を持つデータを配置したり、第三者が権利を持つデータを共有する行為には規約違反となる可能性がある事に注意が必要です。
また、共有を行ったユーザーは自身のデータのアクセスレベルに関して自由に設定を行うことが出来ます。というか、この辺りの設定については自分自身の権利に関係する事なので、ちゃんと管理してねっていう事になっています。
共有機能に関連してですが、コメント機能が付随します。共有されたファイルにはコメントを書き込むことが可能ですが、コメントは匿名ではなく、Adobe社をはじめ権限を持つ者が削除できます。
共有されたデータを削除した場合、Adobe社は当該データの公開を停止します。しかし、Adobe社はクラウド上のデータを定期的にバックアップしているため、バックアップ上には当該データが残っている場合があります。
共同編集という機能が順次実装されているのはご存知かと思います。これに関しては複雑な問題が存在します。詳しくは追加条件のAdobe Collaboration Spaceを参照いただきたいのですが、問題になりやす部分として共同編集に参加していない第三者が権利保持者であるアセットを共同編集の作品上で利用する場合です。こういった場合共同編集参加者のうち、当該アセットの利用権を取得した者が全責任を負うというルールになっています。
最後に、ユーザーは各アプリケーションを利用した際に「この機能があればいいのに」とか「この挙動はだめだと思う」といった点に気付いたりするかと思います。こう言った事をAdobe社にフィードバックを返す事ができるわけです。しかし、斬新なアイデアをAdobe社に提供したからと言って見返りはありませんよって事が記述されています。ちょっとしたアイデアはスクリプトがプラグインとして自分で実装して売り出すと良いかもしれません。

という事で、とても長くなったので一旦ここで終わります。

続きは後ほどという事で、アディオ~ス(^-^)/

ten_a

Graphic Designer, Scripter and Coder. Adobe Community Professional.

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