色彩商標の検索の仕方
先日色彩商標についてお届けしたわけですが、多くの方に見ていただいたようです。ありがとうございました。
記事中で紹介したものは一部なんですけど、日本で色彩商標が登録されているものに関しては数えるほどしかありません。今回は、前回紹介しなかったものについて書いておきます。
それから、商標についてはj-Plat-Patの検索を利用することが多いんですけど、このサイトのUIってクセがあってチョット使いにくい面もあったりします。こちらの利用の際にヒントになる使い方も紹介します。
ということで、まずは紹介してなかった分のものから見ていきます。
株式会社三井住友フィナンシャルグループのコーポレートカラー
深緑矩形の下に黄緑の細い帯を配した状態で登録されています。
金融全般、経営の診断又は経営に関する助言、セミナーの企画・運営又は開催、遺言の執行,遺言の整理,遺言書の保管,公的年金に関する助言及び指導,公的年金に関する情報の提供
といったところが守備範囲になっています。
セブンイレブン及びファミリーマートの帯
店舗を飾る特徴的な配色(セブンイレブンの白地にオレンジ・緑・赤のボーダー、ファミリーマートの緑・白・青のボーダー)の帯についてもこの2社は色彩商標を取得しています。小売店舗のファサード等へは利用できません。また、小売系のチラシなんかでも誤認を避けるために同様の配色を避けるのが賢明でしょう。
UCCミルクコーヒー缶の配色
明るい茶色・白・赤を大胆にあしらった缶コーヒーの色彩も商標が認められています。
チキンラーメンの袋の背景
袋ラーメンのバックの白とオレンジのしましまを茶色とオレンジで挟んだデザインですが、こちらも商標が認められています。
と、色彩商標として認められているのはここまでです。拒否されたものを見ると600件以上あるのですが、日本で認められたものはわずかに11件となります。(SMBCとかuniの複数登録分を省くと7件)という、とても難易度の高い物となっています。わたしたちデザインに携わる者としては安易に登録されることで業務を行う際に禁忌事項が増えてしまうという状況にならずに済んでいるのですが、色彩と商品が結び付き一般化するという事の難しさという事も感じる次第です。
さて、続いて検索方法も紹介しておきましょう。
まずはj-PlatPatサイト(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/)にアクセスします。
商標のところのドロップダウンを開き
商標検索をクリックします。
通常は開いたページの各項目に入力して検索を行いますが、色彩商標の場合、単純に検索してもピックアップできません。
下にスクロールすると検索オプションがありますので、それを開きます。
色彩のみからなる商標のチェックボックスにチェックをいれて検索を実行します。
デフォルトでは「出願・権利存続中」が選択されていますので、このまま検索を行えば審理中のものと権利存続中のものだけがリストアップされます。
蛇足…
ポッキーについてなんですけど、拒絶理由が大雑把にいうと「小麦を焼いた菓子にチョコレートをかけるとどれも似たような色彩になるし、商品の容姿そのものの登録はあかんから却下」ということで拒絶されたわけですが、江崎グリコも意見書をまとめて反論しています。この経過がなかなか読み応えがあって非常に面白いです。現在進行系で手続きされているものなので良いスタディーケースとなると思われます。デザインに携わる方は一読されることをお勧めします。