IllustratorのGPUパフォーマンスに関する問題

結構ご無沙汰しておりますTenです。はい。いつの間にか桜が咲いちゃってるわけなんですけど、皆様に置かれましてはご健勝のこととお慶び申し上げる次第です。
挨拶もそこそこに本題に入ります。

以前からGPUに関する問題は結構多くて拡大した時にエッジ部分がデータ通りに表示されていないなど色々とあるのですが、これはオーバープリントプレビューモードでは正しく表示される為、実際のデータ上で不具合を招くような事はなく、あくまでも表示上の問題でした。
今回、こうして情報をまとめるのは、表示上の問題だけではなく実際のデータ自体も品質が低下した状態である事が理由です。ということで、どのようなリスクなのかをお届けしておきます。

「リアルタイムの描画と編集」に関してはhttps://bit.ly/3PKfdFhの報告を行いました。ここでも今一度ご説明させていただきます。

再現手順

1.環境設定の「パフォーマンス→リアルタイムの描画と編集」のチェックを入れる。ドキュメントラスタライズ効果設定は高解像度(300dpi)に設定しておく。
2.ドキュメント上に任意の図形を作成し塗りを設定する。
3.作成した図形を選択した状態で「効果→スタイライズ→ぼかし」を適用する。
4.効果を適用したオブジェクトの塗りの色を変更する。
5.ぼかし部分が低解像度でレンダリングされる。

これの影響というのはパスに対するラスター処理が絡むもの全てです。スタイライズのドロップシャドウや光彩と言った処理はもちろん、3Dとマテリアルやラスタライズにて高解像度設定でビットマップへ落とした場合も影響されます。
予想ではあるんですけど、リアルタイム処理時には低解像度のプロキシ処理で連続表示を行いますが、ver.26までは処理の確定時に正常に指定解像度での処理が確実に行われていました。現状、該当オブジェクトの色変更などで最終的なレンダリング処理が欠落するということかと思っているんですけど、このリアルタイム描画の大きな穴がもう一つあります。これはリアルタイム描画が実装されてからず〜っと隠れていたのではないかと考えています。

 

こちらの画像はすべて同じオブジェクトのコピーです。手前の列は72ppiのビットマップ表示になってしまっています。これはリアルタイム描画の穴を突いて異常なデータを作成した状態です。この手順もご説明しましょう。

1.任意のオブジェクトに対してぼかしを適用する。
2.当該オブジェクトを選択肢ドラッグを開始すると低解像度のリアルタイム描画が開始される。
3.この移動中にoptionキーを押下してコピーモードに
4.任意の位置でマウスボタンをリリースすると低解像度のリアルタイム描画用の表示のままオブジェクトがコピーされる。オリジナルのデータも低解像度表示用のままとなる。

と、通常の移動であれば処理が終わった時点で所定の解像度でのレンダリング結果となるんですけど、移動途中でコピーに切り替えた場合、この最終結果のレンダリングをすっ飛ばします。回避方法としてはオブジェクトをドラッグ開始する前にoptionキーを押しておくと良いです。編集作業って手癖で成り立っている部分がありますからコピーの際はoptionを先に押すというのを意識してください。

以下の投票もお願いします。

https://bit.ly/49p3keC
https://bit.ly/3PKfdFh

ten_a

Graphic Designer, Scripter and Coder. Adobe Community Professional.

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