Illustratorのグラデーション新機能「ディザ」はポスターサイズのグラデーションに対応できるか?
連日の投稿となりますが、お付き合いください。
昨日の「知覚的」に関してはどちらかというとRGBワークフロー向けだという事をお伝えしたわけです。で、同じく新機能のディザはどうなんだろう???という事を検証していきますのでご確認ください。
大きなグラデーションエリアに発生するバンディングというのは厄介なもので、階調が不足しているとグラデーションが階段状に見えたりします。これはポスターのような大型の印刷物などで注意が必要で、グラデーションが長すぎた場合に色の変化を作る階調が不足するために起こるものです。従来であれば対処法としては階調の変化を大きくしたり、グラデーションにノイズを乗せたりして段差の部分を目立たないようにするような手法が取られました。ディザをONにしたグラデーションが、そういったノウハウの代替として成立しているかどうかの検証が今回の主なテーマです。
冒頭のイメージは何の変哲もないグラデーション2本です。ただし幅が594mmのポスターサイズです。普通にやると絶対にバンディングが発生します。これをディザありとなしで書き出したのものを比較してみましょう。
こちらは「ディザなし」です。バンディングは1%単位で見えてきますのでそれを強調しています。見事に階段状になっています。おおよそ8mm程度の幅でバンディングが出ていますのでRIP側で適切な処理が入らないとバンディングが印刷に出てくる可能性があります。
では、ディザがかかった方を同じスケールで見てみます。
このように階調間がディザで適度に荒らされています。この状態だと網点に落とされる時に同一濃度の部分がランダムに揺れますから直線的な階段状にはなりませんので一定の効果は望めそうです。
注意点としては、過去のバージョンのIllustratorでこれらのグラデーションを含めたドキュメントを開くとラスタライズされてビットマップとして開かれます。その際に使われる解像度はドキュメントのラスタライズ効果設定の値です。ちなみに昨日ご説明した知覚的は72ppiでラスタライズされます。以上のことから、知覚的はWeb向けの実装、ディザは印刷を意識した実装と考えられます。
ということで、DTPな人はロングスパンのグラデーションではディザをONで運用も選択肢としてはアリです。WEBな人は必要ないです。
ただし、あまりにも色の変化が少ないものに対してはディザや従来のノイズを加えるような手法でも対応できませんのでご注意を。