Illustratorの「グループの抜き」について1

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グループの抜きに関してはPDFで見えないとか色々言われていますが、なぜそんなことになっているのかってところを解説してみます。
まず、普通に透明部分が含まれるPDFは構造的にどうなっているかを見てみましょう。

こちらは黄色いバックに不透明度50%のC100のテキストを乗せた状態のものです。

このように不透明度をあつかう部分はContents部分には記述されずResources内のExtentGState内にグラフィックステートパラメータとして記述されます。

上で示した構造のContentsにはテキストに関連するオブジェクトの器だけが用意された状態であって、肝心のテキストに関する情報がありません。この不透明度を持つテキストは「トランスペアレンシーグループ」と呼ばれる外部オブジェクト(XObject)にて定義されます。
以下の例ではXObjectを構成するフォームオブジェクトにトランスペアレンシーグループが含まれている状態です。

この例では不透明度が設定されたオブジェクトがテキスト要素ひとつである為にfm0(XObject)内のコンテンツ要素はひとつだけです。このXObject内にテキスト要素の実体が存在しますが、不透明度に関する情報は親オブジェクトのgs1(ExtGState)のca値が有効になっていることに注意が必要です。

ここでPDFリファレンスからトランスペアレンシーグループに関する記述部分を抄訳したものを挙げておきます。

トランスペアレンシーグループとは、トランスペアレンシースタック内の連続したオブジェクトを集めて合成し、各ポイントで単一のカラー、シェイプ、不透明度をコンポジットしたものです。その結果は、あたかも1つのオブジェクトであるかのように扱われ、その後のコンポジット操作に使用されます。これにより、複数のオブジェクトで構成された独立したアートワークを作成しコンポジット化することが容易になります。グループはツリー構造の階層を形成するために、他のグループの中に入れ子にすることが可能です。
グループに含まれるオブジェクトは、グループスタックと呼ばれる別の透明スタックとして扱われます。スタック内のオブジェクトは、初期背景に対して合成され、グループ全体の色、形、不透明度がコンポジット化されます。その結果、形状は構成オブジェクトの形状の結合であり、色と不透明度は合成操作の結果であるオブジェクトが生成されます。このオブジェクトは通常の方法で背景とコンポジット化されます。演算された色、形、不透明度のほかに、グループ全体としてさらにいくつかの属性を持つことが可能です。
◯個々のオブジェクトのコンポジット演算に影響するすべての入力変数は、グループを背景とコンポジットするときにも適用できます。これらの変数には、マスクと一定のシェイプ、マスクと一定の不透明度、ブレンドモードが含まれます。
◯グループは孤立または非孤立にすることができ、そのスタックが合成される最初の背景を決定します。
◯グループは、ノックアウトまたは非ノックアウトにすることができ、スタック内のオブジェクトが互いにコンポジットされるか、グループの背景のみにコンポジットされるかを決定します。
◯孤立グループは、グループの背景の色空間とは独立して、独自のブレンド色空間を指定可能です。
◯グループは、ページコンテンツとしてコンポジット化される代わりに、ソフトマスクを作成するためのシェイプ値や不透明度のソースとして使用可能です。

pdf_reference_1-7.pdf p.530

と、長くなったので以下続きます。

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Graphic Designer, Scripter and Coder. Adobe Community Professional.

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