「不透明マスクで形状のぬきを定義」の闇
先日はむ子さんに解説しろって言われていたやつです。Illustratorの「グループの抜き」のオプションに「不透明マスクで形状のぬきを定義」というのがあるんですが、これは使われていません。なぜ使われないかというと「設定しても意味がない」からです。
という事なんで、なぜ意味がないのかというところを細かく解説してみましょう。
とりあえず「グループの抜き」をまずは用意してみましょう。
左のまつぼっくりのイラストは相方のストック素材から用意しました。元はIllustrator形式のものですがマスクチャンネルを付加した状態でPSD形式で保存したものです。右の茶色は普通の矩形です。これらを重ねてグループの抜きを設定します。
グループの抜きが適用された範囲は画像全体になっています。ここで上に乗せた画像を埋め込んでおきます。これをしないとマスクチャンネルを認識しません。で、「不透明マスクで形状の抜きを定義」にチェックを入れると…
このように画像のマスクチャンネルが抜きの定義に利用されマスクチャンネルの黒い部分の不透明度が0になり、不必要な部分がマスクされたことがわかります。
この状態はグループの抜きを適用していないグループの表現と等価な状態のものです。
では、グループの抜きの特徴である「上のオブジェクトが他のオブジェクトをノックアウトする」が「不透明マスクで形状のぬきを定義」を適用したグループにどのように働くかを見てみます。
上の例では画像の本体に対して不透明度25%を設定した状態です。比較としてグループの抜きを適用していない場合の結果もならべてありますが、まったく同じ表示になっているのがわかるでしょうか。
不透明マスクを適用したオブジェクトの不透明度を操作した場合、本体の方の不透明度が変化しますが、不透明マスクの濃度に関しては影響がありません。透明パネルのマスクのサムネイルも影響を受けていないのがわかるかと思います。
ところが、本体の不透明度に応じて不透明マスクのノックアウト状態を変化させてしまうために結果が通常のグループ化と等価となってしまっています。不透明マスクを抜きに利用した場合は下のようになるべきです。
という事で、おそらくバグなんですけど、この挙動で全く意味がないものになっている次第です。他に配置画像ではアルファチャンネルを認識できなかったりと色々問題がありますので使えません。となります。一応Uservoiceには報告してあります。