色彩商標についてデザイナーが留意するべき事

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ご無沙汰しています。ひと足お先に年末進行に翻弄されているTenでございます。ようやく暑さも何処かに去って、凌ぎやすくなってきた今日このごろ、皆様に置かれましてはご清祥の事とお慶び申し上げる次第です。
商標について色々と調べている時に気になった「色彩商標」についてお届けしようと思います。色彩商標ってなんだ???と思われた方も多いかと思いますが、特定の色や組み合わせが商標として認められた例が少なからず存在します。今回は、そういった色彩商標の紹介と注意すべき点をまとめてみました。

色彩商標とは

特定の単色もしくは複数の色の組み合わせ、商品等の特定の位置に配された色彩そのものを商標として登録するものです。長年にわたる使用によって、ある特定の色彩が商品の出自を示すものとして消費者に認知されている場合、その色彩を商標として独占的にりようできるものです。
これは、相当にハードルが高く認められるケースというのはかなり少ないものです。ということで、有名なものを以下のまとめてみましょう。

ティファニーブルー
有名ですね。商標範囲としては宝飾品です。ターコイズブルーより少し緑がかった明るい特徴的なブルーです。PANTONE 1837で定義されていて、このPANTONEカラーはティファニーしか使えません。ブランドカラーとしても認知されていますので宝飾品パッケージやラッピング資材以外の広告なんかでも出所混同の可能性があり、注意が必要なものです。

コカ・コーラ レッド
こちらも有名なものです。認められている範囲は飲料パッケージです。これのお陰で清涼飲料水関連に赤いパッケージを利用できないというやつです。飲料関連の広告なんかでも赤を基調にする場合は出処混同を問われないように注意が必要になります。

MONO消しゴム
皆さんよく使ってると思われる。MONO消しゴムのスリーブの配色も色彩商標として登録されています。指定範囲は消しゴムで、特徴的な青・白・黒のストライプの構成が商標として保護戯れています。この特徴的な帯の比率は広告等をデザインする際にも出所混同の問題を避ける為に回避する必要があります。

UNI鉛筆
三菱鉛筆の鉛筆ブランドである「uni(ユニ)」は、えび茶色とワインレッドを混合したユニ色と呼ばれるベースに黒を配しエッジ部分に金の帯をあしらった高級感のある特徴的な配色となっています。この「ユニ色+黒(+金)」の配色が色彩商標として登録されています。三菱鉛筆はこのユニ色単体も色彩商標として登録しようとしましたが、こちらは却下されています。ということで、文具カテゴリ(特に鉛筆)でのこの配色は利用不可です。また、文具に関連する広告なんかでもこの配色・バランスは出所混同を問われる可能性があります。

ということで、有名どころだけピックアップしたという感じなんですけど、デザインを行う際はこういった事にも留意しておくと安心です。以下に注意すべきポイントを纏めてみました。

デザイナーが実務で注意すべきポイント

  1. 商品カテゴリの確認
    商標登録されている色は、指定商品や役務に限定されます。
    例:ティファニーブルーはジュエリー包装限定。他のカテゴリ例えば、文具やアパレルでは基本的に侵害にならない。
  2. 色味の確認
    登録色のRGB/Pantone値・印刷条件に近似していないか確認。
    微妙に色調を変えるだけでも侵害回避につながる。
  3. 配色比率・配置
    色の単純な使用だけではなく、帯の幅・位置・順序なども侵害判断に影響。
    MONOやユニ色のように「複数色+配置」が登録されているものに関しては注意。有名な商品などをモチーフにする際は注意が必要。
  4. 出所混同の可能性
    消費者が色だけでブランドを連想する場合に侵害リスクがある。特にパッケージや広告での使用は注意が必要。
  5. 調査・確認
    J-PlatPatで色彩商標を検索
    指定商品・色彩・配置図を確認
    類似色が既に登録されている場合はデザイン調整

という事で、限定的ではありますが、CI関連でこういうのに被ってしまうと致命的な結果となりかねません。時には慎重に調査することも必要です。

ten_a

Graphic Designer, Scripter and Coder. Adobe Community Professional.

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