Illustratorでフォントをつくるスクリプトの紹介

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今年は早々に梅雨があけてしまって連日クソ熱いわけですが、例年であれば、クソ暑い中めちゃくちゃうるさいセミがまだ鳴いていないのでめちゃくちゃ静かな真夏となっていて違和感が激しいです。今年の夏は去年ほど暑くはならないって話はどこにいっちゃったのでしょうか。
まあ、それは置いておいて、先日Xの方にIllustrator上でグリフを作成して、それをそのままオープンタイプフォントとして書き出してしまうツールの告知を行いました。6月末に目標のIllustratorで書き出したフォントをそのままIllustratorに認識させる段階まで開発を進めることができ、アルファリリースまでの過程の中で一番大きなマイルストーンにたどり着きました。今回はその概要をご紹介しましょう。

仕様について

この夏にリリースするのはアルファ版であり、リリース後も開発が継続されれ機能強化が随時行われる予定となっています。細かい仕様については以下を御覧ください。

  1. Illustratorのアートボード上に各グリフをデザインし、それらのアンカーポイント情報を元にフォント化をおこないます。
  2. ポストスクリプト系の仕様であるCFFテーブルを持つOpenTypeFontとしてフォント出力します。
  3. サポートするキャラクターはアルファ版時点ではアスキー(欧文フォント相当)となります。
  4. スクリプトによる生成についてはグリフ数の管理上の問題が存在します。これを解消するためにエクステンション化を行います。(ベータリリース)

以上となります。
グリフの作成については、サンプル書類と全角幅・半角幅に設定したテンプレートを添付します。

以降、カラーグリフへの対応、バリアブルフォントへの対応等を考えています。

稼働状態

現段階はメインロジックの凍結を行い、インターフェースの調整を行っています。


ドキュメントの状態について


各グリフは標準グリフ名が付与されたアートボード上にデザインします。各アートボードの高さは1000pt、アートボードサイズをグリフ幅として読み込みます。全角フォントの場合は1000pt、半角は500ptにあらかじめ設定したテンプレートを用意しています。これはポストスクリプト系のフォントが1000ユニット✕1000ユニットが基本になる事に合わせた仕様です。1000ポイントなので結構でかいです。わたしがグリフを作成する場合はグリッドを設定して1ポイント単位に吸着させます。また、ピクセルパーフェクトの設定も有効です。

フォントを作る作業は結構地道な作業を要求されます。欧文フォントでも最低限必要なのがこの見本なんですけど、そこをIllustratorでいっぺんに行えるメリットは大きでしょう。


スクリプトを実行すると…

このようにダイアログが表示されます。各項目を入力して「Create」ボタンをクリックします。

この様にログが表示されます。ひととおりチェックが終わったら「Close」ボタンで閉じてください。

生成フォルダにフォントが出来ています。OSによっては選択するだけでプレビューされます。

macOSの場合ダブルクリックすると

この様にFontBookで開かれます。そのままインストールしてOKです。
この見本の様に手書きでアンカーポイントが多いグリフの場合は生成時間が長くなります。見本では90秒弱でした。通常のゴシック系のアンカーポイントが整えられて最適化されているフォントであれば生成時間は5秒位以内で終了します。
実際に生成したフォントを利用してPDFに書き出しAcrobatのインスペクタでチェックしてみました。

この様に正常に各グリフが埋め込まれているのがわかります。

それでは皆様リリースまでお待ちくださいませ(^-^)/

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Graphic Designer, Scripter and Coder. Adobe Community Professional.

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