アドビ基本利用条件を読んで見る2
はい、予告通り基本利用条件の続きをお届けいたします。思ったより長くなっていますけど、気にしない気にしないwww
という事ですので、お読みください。
5.アカウント
5.1. アカウント情報
個人アカウント及びビジネスアカウント双方に言えることなのですが、アカウントの管理責任はユーザーにあります。もし、パスワードの管理が悪くてアカウントを悪用された場合でも当該ユーザーの責任問題となります。ですから、アカウントの管理はしっかり行ってください。また、SMS認証等も利用すると、より安全になります。あと、PhoneGapについて書かれていますけど、忘れてください。
5.2 アカウントのセキュリティ
先にも書いてあるんですけど、アカウントの管理はユーザー側に責任があります。不利益を被らない為にもSMS認証・メール認証といったサービスを利用しましょう。また、Adobe社側で問題が生じた場合、アカウント保持者に連絡が来ますが、その際は早急に対応するようにしてください。
これは実際に情報漏洩があったわけですが、その当時はサブスクリプションではありませんでしたので致命的なことにはならない人が多かったのです。しかしながら、現在はアカウント情報が命綱となっていますので、ユーザーも素早い対応を要求されるわけです。そういった、万が一に対応するためにも複数のコンタクト情報を登録するようにして下さいってことが書いてあります。こういった対応をせずに放置していた場合、トラブルが生じた際の不利益は保証されませんよってことなのです。アカウントにアクセスできなくなるとアプリケーションが利用できなくて仕事にならないという事もありえますので、代替メールアドレス等の登録も行っておくようにお勧めします。
でも、Adobeからのメールだと偽装したスパムメールも存在します。メールヘッダを確認してAdobe社のドメインから発信されたメールだと言うことは常に確認をしていただけたらと思います。
5.3 長期間不使用の無料アカウント
無料プランでは2GBのクラウドスペースが割り当てられますが、みなさま無料ということで放置してしまいます。そういったアカウントについては一定期間を過ぎた後、メールにて予告の上削除されます。これは有料のサブスクリプション契約されているアカウントには適用されません。
6.ユーザーの行動基準
コンプライアンス的な問題についてです。
契約なしにアプリケーションを利用し続ける行為、クラッキングを行いアプリケーションをコピー、改変し有償・無償を問わず配布する行為、サブスクリプションを他人に又貸しまたはサブライセンスする行為、サーバー等にインストールしてサービスとして利用する、または、アクセスしたものに利用させるような行為、標準的に組み込まれている機能を迂回してアプリケーションの制限を回避する行為、AdobeFonts等のような第三者が権利を保有するアセットを再配布するなど著作権・商標権等の知的財産権を侵害する行為、こういった行為は全て規約に違反します。また、法律に抵触する場合もあります。ご注意を。
さて、アプリケーションを利用して作られるコンテンツについても一定の基準があります。特にデータを共有したりStockにアップロードする際の基準となるものですが、一般的な基準において、違法、有害、脅迫的、不愉快、暴力的、侮辱的、不法、中傷的、名誉毀損、低俗、猥褻、卑猥、他者のプライバシー侵害、憎悪表現などの好ましくないコンテンツの共有はダメです。ファイル共有は一般に開かれた場所に公開するものです、様々な拝領は最低限必要です。特に未成年者も参加していることには留意が必要です。あと、なりすまし等の行為もダメです。
アプリケーションの動作を阻害・改変するような行為やクラウドをクラッキングして破壊したり、Adobe社のアプリケーションをターゲットとしたウィルスをばらまくような行為、他のユーザーの利用を妨げる行為、Adobe関連のアプリケーションに限ってというわけではないのですが、スパムをばらまくような行為、詐欺行為、アプリケーションに広告を勝手に組み込むような行為、アプリケーションの動作について機械学習にかけて解析を行う行為、Adobe社の措置を回避するような行為
長々と書いていますけど、サーバー経由で他人に利用させたり、サブスクリプションの期限を不正に延長したりといったことはコンプライアンスと言うよりは犯罪となりますのでやっちゃいけませんということです。
あと、デベロッパーなんかが出来ちゃうんですけど、エクステンションのUIを利用して広告をを表示するような行為は許可が必要です。実際に許可が出るかというと難しいんですけど……
この章ではこういったユーザーの行動指針が示されています。個人ユーザーとして出来ることは、コストを圧縮したい場合はディスカウントされたダウンロードカードをうまく利用すること、お金を支払った限りはアプリケーションを使い倒すこと、情報収集・共有にコミュニティなどを上手に利用する事。そして、違法なことには近づかない事です。
7.料金と支払い
Adobe社のアプリケーションを利用する際にはサブスクリプション料金等の他に消費税や通信費と言った料金が別途必要です。こういった料金に関して、Adobe社はユーザーに対して徴収手続きを取ることもありますが、通常の個人ユーザーの場合、そういう事になような支払い方法が選択できません。でもサービスを利用する限りは適切に支払い手続きを行ってください。これはご自身の信用毀損につながります。あと、クレカの情報保持についても言及されていますけど、これは、一般的なサブスクリプション契約と同等の内容です。
8.お客様の保証および補償義務
ユーザーの行動基準にも関連しますが、作品を作成する際に第三者が作成したアセットを利用し、その作品を共有・公開又は商用に利用するケースについてのユーザーの責任について書かれています。
ユーザーは、その作品中に利用したアセットについて正当な手順にて利用する権利を取得した事を保証する必要があります。また、利用したアセットが不正に取得されたものであった場合、ユーザーがその損失について補償を行わなければなりません。また、フォント等についても同様に正当な利用権を持って運用していることの保証義務があります。
具体的な例を挙げてみましょう。
ストックサイトからウォーターマーク入りのサンプル画像をダウンロードし、Webバナーに利用し公開した。後日、COPYTRACKという団体から連絡が入り不正利用の期間分の利用料金を請求された。
Web上で公開された画像を出自やライセンス等の情報を確認せずリーフレットに利用した。後日、画像作成者からクレームの連絡が入り使用料を請求された。
某メーカーのフォントを商品パッケージに記載する商品名のロゴマークとして利用し商標登録した。後日フォントメーカーからクライアントに連絡が入り利用規約に違反している事が発覚した。現在、クライアントとフォントメーカーで交渉を進めている。
これらの事例はユーザーに補償義務があります。該当データや作品の公開停止と金銭的補償が落としどころなのですが、請求される金額は思ったより大きいです。ご注意いただきたいと思います。
9.保証の免責条項
Adobe社のアプリケーションの保証に関して書かれています。基本的にアプリケーションの提供は現状有姿での提供になります。サブスクリプションにログインできず仕事が進まなかったからと言っても保証してくれるわけではありませんのでご注意を。また、不具合についても基本的には何の保証もありません。ただし、リリースされたアプリケーションがひどい出来だと企業イメージの棄損につながりますので、出来る限りの対応というのはやってくれます。
多くのケースではトラブル発生時にユーザー個人が不具合と判断できるわけではありません。そう言ったケースでは、まずコミュニティーで相談すると情報の集約や検証がユーザー間で行われ状況が明確になるケースもあります。
運用上のデータの破損というのも常に可能性が付きまとう事です。過去にもアプリケーションの挙動に不具合があり、その影響でデータ損失が発生するといった事も起こっています。バックアップを行うなど、ユーザー側の自己防衛対策も必要だと考えた方が良いでしょう。
10.責任の限定
免責条項なんですが、基本的にアプリケーションは現状有姿にての提供となることから、この提供自体が円滑に行われている限りは軽微な不具合などによる影響においてもAdobe社に対して何らかの請求を行うことは出来ないのですが、比較的重い過失においては、その過失について免責する事はありません。こう書くと判断の基準が曖昧なのがよくわかりますが、ユーザーは各アプリケーションがAdobe社が設計した通り通り動くことを期待しているわけです。それが期待通りの動作をしない事があれば、Adobe社は正常に動作するものを提供するための努力を行う義務があります。
ただし、Adobe社が責任を負うのはここまでです。ユーザーがアプリケーションを利用できなかった期間に対する補償や逸失利益を補填することはありません。
また、Adobe社が補填する金額についても明確にされていて$100もしくはユーザーがサブスクリプション(3か月分)やアプリケーションに支払った金額のどちらか高い方と定義されています。これを適用されるケースっていうのはちょっと思いつきませんけど……
11.契約の終了
ユーザーはサブスクリプションをいつでも解約し、Adobe社のサービスやアプリケーションの使用を終了できます。
ただし、契約形態によっては残りの契約期間に応じて早期解約料等の支払い義務は消える事はありません。。
11.2 アドビによる終了
本追加条件に別段の定めがないかぎり、アドビの独自の裁量により以下の場合には、本サービスおよび本ソフトウェアを使用しアクセスするお客様の権利をいつでも前払い料金の返金なしに、直ちに終了または一時停止することができます。
(A)~(E)に書かれているのは前述のユーザーが尊守すべき事柄について反する行動があった場合にAdobe社が取り得る対応について書かれています。
(A) ユーザーがこの規定に違反もしくは守る意思がない場合
(B) ユーザーが料金を支払わなかった場合
(C) Adobe社及びアドビ従業員に対して、侮辱、脅迫、いじめ、または嫌がらせをした場合
(D) ユーザーが悪意を持って、もしくは合理的な理由なしにクレームを繰り返し、Adobe社が停止を求めた後もこれを継続した場合
(E) ソフトウェアまたはサービスを引き続きおユーザーに提供することが適用法に違反する場合
(F) Adobe社がサービスおよびソフトウェアの全体または一部の提供を中止することを選択した場合
(G) お客様のアカウントが長期間不使用の場合
Adobe社がここに書かれた以外の理由でユーザーに対してサービスおよびソフトウェアの提供を終了する場合、Adob社は、ユーザーが登録したメールアドレスにメールを送信するなど、少なくとも終了日の30日前までにユーザーに通知するよう努力しなければいけません。停止されるサービスによってはユーザーが権利を持つ作品などのデータが含まれる場合がありますが、その際にはユーザーに対する通知にユーザーが自身で作品などのデータを回収する方法も記載されます。ということなのですが、サービス停止には期限が設定されますから、ユーザーはできるだけ早く自身のデータをバックアップするほうが良いでしょう。
また、アカウント操作に関してはAdobe社にミスが生じる事も考えられ、なんの連絡もなしにログインできなくなったとかもありえます。この話はそういった事に対する免責ではないので、見に覚えがないのにアクセスを拒否されてしまうと言った場合は「アドビカスタマーケア」に連絡を取って相談することをお勧めします。
12.貿易制裁と輸出管理の遵守
一般のユーザーには縁遠い話なのですが、法的にはアメリカの輸出管理規則による制限が存在します。これも万が一破っちゃうと大事になるのでご注意を。
13.オーストラリア消費者法
正直オーストラリアの法律に関してはよくわからないのです。という事でパスさせていただきます。
14.紛争解決、集団代表訴訟権の放棄、仲裁合意
通常のサブスクリプション・アプリケーションをユーザーが運用する際の問題というのはカスタマーケアに相談する事によって解決が可能です。
まずはこちらに相談することをお勧めします。
しかし、そこでの対応に納得できない場合という事も考えられますが、裁判所への申し立てや少額訴訟手続きという手段も考えられるわけです。この章ではそういった事についての言及が書かれています。申し立てについては1年以内という期間が設定されています。それを経過した場合、その申し立ての原因になった事柄に関しては申し立てる権利を失います。
また、係る係争についてはAdobe社とユーザー個人の間で話し合いが行われることになりまが、Adobe社は集団代表訴訟権をユーザーに認めていません。
で、面倒なことに日本の場合、シンガポールにあるシンガポール国際仲裁センターにてその仲裁規則に則って行われます。しかし、少額訴訟は排除されていませんので日本でも規模の小さな物は提訴可能となっています。
でも、一番良いのはカスタマーケアと良く話し合うことです。利用条項にや追加条件といったドキュメントを注意深く読む限り、Adobe社はこれらの基準に対しては確実に対応を行ってくれます。
更にややこしい事なのですが、この14条に関してはユーザーにオプトアウトする権利が認められています。具体的には、サブスクリプション・アプリケーションの利用開始から30日以内もしくはこの14条が改訂される日までのいずれか遅い期日までにAdobe社に書面で通告することによりこの条項を拒否することが可能です。そうすることで、双方がこの条項に記述されている事に縛られなくなります。しかし、それは全面対決するって事になるかと思いますので、なかなかに勝ち筋の見当たらない戦いになりそうですね。
15.監査に関する権利
サービス・アプリケーションを利用している法人に対してAdobe社は利用条件に準拠した状態で運用されているかどうか監査を行う権利を有します。この監査は年に1回を上限とし、7日前までに通知することで可能になります。また、購入記録や支払い記録といったサービスやアプリケーションを契約上正しく運用している事を確認するための記録や情報といったものをAdobe社に要求されることがあります。その際には30日以内に当該データを提出しなければなりません。
16.本サービスおよび本ソフトウェアならびに可用性に関するアップデート
CreativeCloud等のサービスやアプリケーションは事前の予告無しにアップデート・廃止されることがあります。廃止サービスを年払いにて契約していた場合は残期間分の料金は返金されます。廃止や新サービスへの移行といった場合はユーザーに対して移行期間を設けられます。
例えば、Dimensionのように廃止されたアプリケーションでもアップデート自体は停止していますが、2023年現在でもインストールして利用することは出来ます。CS6ファミリーに関してもユーザーの利便性を鑑みインストール時に必要な認証サーバーを稼働しています。
この様に、ユーザーの可用性に対するAdobe社の姿勢がこの条項で書かれています。
可用性の観点でいうと、Adobe社のアプリケーションはWebにアクセスしてダウンロードできますが、このアクセスは世界中のどこからでもアクセスできるとは限りません。先に書かれているように米国の法律により輸出規制されている国では利用できません。その他、サービスがブロックされるネットワークというのもあります。しかしながら、日本国内に在住のユーザーには関連が薄い話ではあります。
17.変更、リバースエンジニアリング、人工知能/機械学習(AI/ML)の禁止
こちらはタイトルそのままです。自分の都合で一部のコンポーネントを削除したり何らかの目的でアプリケーションの動作を解析するような行為はダメだよって事です。こういった行為は関連法に抵触する可能性もありますのでご注意を。また、昨今のAI学習を利用してアプリケーションやサービスについて学習させることも禁止です。
18.雑則
18.1 基本利用条件について日本語版は日本のユーザーが理解しやすいよう便宜上翻訳されたものです。仲裁などの際には英語の原本が使われます。
18.2 アドビへの通知 Adobe社への書面での通知には以下の住所を利用します。
Adobe Inc., 345 Park Avenue, San Jose, California, 95110-2704, USA, Attention: General Counsel
18.3 お客様への通知 ユーザーへの通知には、アカウント(AdobeID)に登録されたメールや郵便、サービス内での掲示、その他法的に許容される手段が利用されます。なお、アカウント情報の管理はユーザーの責任において行われるものです。通知を適宜受け取るためにもアカウント管理はしっかり行うようにしましょう。
18.4 譲渡禁止 サブスクリプションはアカウントに対して許諾されるものです。ユーザーは又貸ししたりすることは出来ません。また、CreativeSuitesのような永続版ライセンス製品においても譲渡の際は一定の条件が存在し、Adobe社の許可も必要となります。
18.5 官公庁向けの条件 アメリカ国内に関する条項です。ということでスルーします。
18.6 見出し 見出しは便宜上付加されているものです。内容をしっかり読む必要があります。
18.7 可分性 基本利用条件の一部の条項が何らかの事情で無効と判断される場合でも、その部分以外の項目は効力を失いません。
18.8 権利放棄の否定 Adobe社がこれらの条項に書かれている権利を行使しない場合であっても、その権利自体を放棄したわけではないので注意が必要です。
18.9 不可抗力 天災や戦争といった不可抗力の影響で契約の履行が遅延した場合は相手方に責任を負わないっていうことなのですけど、ユーザーの支払い義務は除きますってかいてますねぇ……
DMCA
デジタルミレニアム著作権法って事なのですが、これに関しては別途解説を用意いたします。
以上で全部目を通したことになります。ただし、サービスやアプリケーションによっては追加条件が存在し、中にはこちらの条項をオーバーライドするような内容のものもあります。また、知財関連など少し詳しく説明しておいた方が良いものもありますので、後日お届けできればと思います。