InDesign ver.20のMathMLについての注意
みなさん、昨日はMax見ましたでしょうか? 私は早々にドロップしました。AI機能中心で盛り上がっていたというのはありますが、各アプリケーションにおいても様々の機能追加が行われています。昨日は相方がIllustratorのパス上オブジェクトについての解説をリリース直後にお届けしていましたが、わたしはInDesignで追加された機能に関してちょっと気になったMathMLを解説しておきたいと思います。
MathMLというのはMathematical Markup Languageの略で、数学的な表記・構造を記述するためのマークアップ言語で、構造自体はXMLで組み上げられます。
主にWebブラウザー上での表記がターゲットなんですけど、ver.20ではこのMathMLのパーサーが搭載されました。
ちょっとやってみましょう。
オブジェクト→MathMLを挿入…を選択すると
この様なダイアログが出ます。左側にMathMLを入力して中心にあるアイコンをクリックすると右側のプレビューウインドウに表示されるという仕組みです。
今回入力したのは中学校で習う2次方程式の解の公式です。保存をクリックするとカーソル位置またはプレースガンに配置されます。
数式の組体裁自体はきれいですね。では、注意点を解説していきましょう。
数式は埋め込まれたSVG
はい、MathMLはパーサーを通してSVGとして埋め込まれます。そのため、CMYKをサポートしません。数式パネル上ではCMYKを扱えますが、MathMLに適用する際にRGBコードとして取り扱われ適用されます。埋め込まれた数式の実態はSVGなので仮に黒を指定していたとしても#000000が適用されている状態ですからプリント出力時やPDFを書き出す際には4C割れが発生します。
まだ全てのグリフが実装されていない
こちらも大きな問題です。例えば以下のようなごく普通の積分なんですが、これは正確に表示されません。
こんな感じで「d」が欠けてしまいます。このように現状、数式に必要な文字がすべて揃えられていません。
主だったところはこんなものなんですけど、細かく見ていけば色々出てくるかもしれません。
現状で印刷物に利用するには…
数式を作ったらIllustratorにコピペしてIllustratorで調整します。
先の数式をIllustratorにコピペします。
グリフの存在する部分はアウトライン化され、ミッシンググリフの部分は元の化けたテキストが残ります。ミッシンググリフのトーフのアウトラインを削除して「d」を入力して適切なフォントを指定します。
体裁が整ったらInDesignにコピペします。
こんな感じですね。大量にあると面倒です。また、MathMLの構造はTexと比較すると構造の認識が難しいです。
ということで、HTMLやデジタル向けならともかく印刷物への利用は現状難しいです。SVGではなくPDFで埋め込まれるようにならないと印刷物での運用には大きなリスクを伴います。現状での運用は手数が多くなって危険ですのでご注意ください。
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